施工事例インタビュー Vol.1-2 “ウチノソト”のプラン

お話を伺ったのは

STUDIO VODA
井上 裕美子さん
〒047-0263 
北海道小樽市
E-mail : yu.voda@gmail.com

<プロフィール>
造園・エクステリアデザイナー
嵯峨美術短期大学インテリアデザイン科 卒業
店舗設計に従事後、自宅の庭づくりをきっかけに豊かな暮らし、
生活や楽しみの場としての庭をつくり広めたいと思い、1994年から造園会社に勤務。
2001年STUDIO VODA設立。
九州から北海道までの、個人の住宅・商業施設の造園・外構設計・装飾植栽、分譲住宅の街並みデザインを手掛ける。
大阪府出身、2009年より北海道在住

家のなかでもなく、公園のような外でもない、私(ウチ)のためのソト空間「ウチノソト」。
家の敷地が小さくても実現できる、心地よい「ウチノソト」を
ひきつづき、実際のプランで解説いただきました。

『モダンインダストリアルデザイン』のプラン

『変化のある景色をつくる中庭』のプラン

『モダンインダストリアルデザイン』 のプラン

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道路から住宅まで1.5m程しかスペースがとれない
敷地でも“眺め”を楽しめるファサードプラン。
「S字の動線を描くことで
狭い空間でも視線に変化が生まれ、
季節で変わる木々の表情や
空間を創るアイテムの素材感を
楽しむことができます」と井上さん。

また、高木を植えて、建物の圧迫感を軽減。
アプローチや道路に木陰をつくりながら
まちなみにやわらかな印象を与えています。
目隠しの効果もあるので、大きめの窓を設ければ、
家の中に日光を取り入れながら、
緑のある景色を楽しむことができます。

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全体のテイストは、インテリアで人気のある
<モダンインダストリアル>を意識したそう。
使い込んだような風合いや色味のアイテムでコーディネートされ、
住む人の好みや個性が感じられる空間となっています。



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グレーと黒色の空間の中で、 天然石はあえてサビ色の鉄平石に。 作り込みすぎない自然なヴィンテージ感を演出しながら、 木目のポストとのバランスも整えています。

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植栽スペースは、レンガで囲った花壇にはせず、
アイポイントになる
L字型のオブジェを設置しました。
幅広につくることで、
郵便物を取り出すときの手荷物置きや、
ウェルカムフラワー台としても活用できます。
内側の植え込み部分は、地面に起伏をつけて
自然の一部のように演出しています。

下草類を減らしてメンテナンスの手間を無くし、 寄せ植えで季節感を演出。

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狭いエントランスの中で、
あえて広い玄関ポーチを計画することで、
空間にゆとりを。
宅配ポストと、取り出した荷物を
仮置きできるベンチを設置して
使い勝手も良くなりました。
玄関ドアのすぐ前にあるので、
重い荷物もスムーズに家の中に
運び入れることができます。

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ベンチの脚には、塀と同じコンクリートブロックを使用。 使用するアイテムを限定すればまとまりが生まれます。 真新しく見えない色合いとデザインを選んで ヴィンテージな雰囲気を壊さないように。

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宅配ポストやベンチを道路から見えにくくし、 すっきりとした印象をつくるレンガの目隠し塀。

『変化のある景色をつくる中庭』 のプラン

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掃出し窓から続く濡れ縁の先にある、4×4m程の中庭。
広くはないスペースだからこそ、
全体を一度に見渡せないようにして奥行きをもたらし、
自然を感じる豊かな空間を表現しました。

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豊かな緑に囲まれているようだが、 実際は三か所に絞って植栽を配置。 これにより風の流れや、 空間の広がりが生まれる。

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「クリアしなければならない課題の一つに、「道路からの視線」がありました。
道路際すぐに塀をたてると、かなりの高さがないと中をのぞけてしまい、
圧迫感も生まれてしまいます」。
そこで、道路からセットバックして塀を設置。塀の前後に植栽帯を設け、
圧迫感を軽減しながら目隠しに。

また、塀は道路と平行にするのではなく、少し角度をつけています。
道路との間が広い場所には目隠しにもなる中木を、
狭い場所は足元へ目線を向ける下草を入れる、などの小さな仕掛けで、
遠近感や視線の変化を生み出しました。

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塀の道路側と住宅側の両方に植栽があることで、
立体的な景色が生まれる。
また、塀にうつる木陰が時間や季節で変化する楽しみも意識。

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塀のL字の部分には10cm程度の隙間を。 コンクリートブロックの重厚感を軽減するだけでなく、 風を通して内側の植栽の生育にも良い。

スポットライトで壁面を照らすことで、 空間が明るくなる効果も。

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家からの景色だけでなく、
まちに緑を提供するという視点も意識されている井上さん。

「みんなが真似をして、緑を取り入れる家が増えていくと、
まちなみとしてどんどん成長していきます。
そんなあたたかいまちなみは、その土地の財産になるんです」。

道路側の植栽は、手入れをきっかけにご近所とのコミュニケーションが生まれ、
安心感のあるまちに育っていってほしいという想いもこもっています。



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中庭は、石畳風のコンクリート舗装材を
斜めに敷いて広がりを演出。
塀に合わせて、月日とともに苔むしたような
色合いを選び、自然な味わいをもたらしました。

植栽の足元には、小川をイメージした化粧砂利を。
「雨が降ったり、水撒きをするだけで
艶感が出るので、景色に変化が生まれます」。
さらに、アイポイントに水鉢を設置したりと
小さな“見どころ”を散りばめ、
眺める楽しみが続く空間にしています。

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「エントランスは最低限求められる「機能」がいくつかありますが、中庭にはそれがありません。その代わりに“眺めたい”、
”過ごしたい”と思える「魅力」をつくることが大切です」。
井上さんが考える魅力ある空間とは――。
「例えば、季節や昼夜といった時間的な変化や、動線・視線などの変化があることで、空間に引き込まれる力はぐっと増します。
設計する時には、そんな『変化』を生み出すポイントをたくさん仕込むことを意識しています」。

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『モダンインダストリアルデザイン』のプラン

『変化のある景色をつくる中庭』のプラン

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