施工事例インタビュー 想いを重ねる集合住宅プラン

お話を伺ったのは

積和建設中国株式会社 広島支店 福山事業所
立古(りゅうご) 寛人さん
〒721-0942 広島県福山市引野町5丁目44-37
TEL:084-943-4878 FAX:084-941-9439
HP:http://sekiwakensetsu.com/company/chugoku/

積水ハウス株式会社 広島シャーメゾン支店
古林(こばやし) 和之さん
〒731-0113 広島市安佐南区西原5丁目16-6 (ケイ・テイ ビル2階)
TEL:082-871-1143
HP:https://www.sekisuihouse.co.jp/

各地の気候風土に調和した樹種を庭に取り入れる「5本の樹」計画や
街や自然、住む人などさまざまな視点から敷地の環境を高める設計基準「ガーデンズ」を定めるなど、
心地よく、美しいまちづくりへの取り組みを推進されています。

想いを重ねる集合住宅プラン

建物と外構の設計者、
そしてお施主様が一丸と
なって完成した集合住宅。
それぞれの想いと
こだわりが融合し、
印象的なアプローチを
はじめとした
無二の空間が生まれました。

元はスーパーだったという広大な敷地につくられた分譲地。
駅近という立地から、戸建ての住宅だけでなく、
集合住宅も建てられました。

建物の脇を通ってエントランスへ向かうという、
集合住宅では見かけることの少ないアプローチが生まれたきっかけは
「南側にある線路から建物を離して、少しでも住む人を
騒音から守りたい」というお施主様の心遣い。

「通常なら、敷地の南側に建物、
北側に駐車場を配置することが多いのですが、
今回はセオリーをはずして逆にしました」と話されるのは、
建物の設計を担当された古林さん。
お施主様の想いをプランに反映しながら、
適切な世帯数や間取り、世帯数に合わせた駐車場、
車路の確保などを検討し、エントランスの位置を西側に決定。
そうして、隣接する建物との間を抜ける
「露地のようなアプローチ」が生まれました。

建物裏面

 

「建物の三方が開けているので、 どこから見ても美しいように意識した」 と古林さん。

アプローチ


「レイアウトが決まってから外構の打ち合わせをはじめたのですが、このアプローチがいい意味で気になっていた」
と外構を設計された立古さん。
奥行きが16mと長いことに加え、その幅が「いい感じに狭い」という印象を受け、ここをつくり込んでいきたい!と考えられていました。

最初の打ち合わせではお施主様から『こんなイメージにしたい』と出かけた先で撮影された写真をいただき、
求める雰囲気を伝えていただいたそうです。
そこに立古さんご自身の想いをプラスして、イメージを形に。
「目隠しの塀のディテールなど、この空間を活かすために、やれることはやろうと考えました。
予算もあるのでドキドキしながらご提案させていただいたんですが、『かっこいいじゃん』とすんなり受け入れていただけてホッとしました」。

 



上質な雰囲気作りに大きな役割を
担っているのが、この目隠し。
「隣地の建物がすぐ横に迫っており、
目隠しは当初からの課題でした」と古林さん。
アプローチに長さがあったため、
地面から全てフェンスで覆うと
閉鎖的で単調な空間になると考え、
フェンスの足元を柱だけに。
その後ろ側に腰高程度の塀を設け、
天然石の張材をあしらうことで
高級感を演出しました。

塀

ナイトシーン

張材の意匠は、
夜の風景も意識して決定されたそう。
「働いている方が帰ってこられたときに
どんな景色の中を歩いていただきたいかを
考えるとライトアップは重要な要素でした」
と立古さん。
グランドライトからの光で陰影が美しく映える、凹凸のある意匠を選ばれました。

圧迫感を感じさせずに “どう隠すか”にこだわった目隠し。  夜には幻想的な風景で住人を迎える。  ライトの位置や数はお施主様と入念に打ち合わせ、 現場で実際に点灯して  増やしたり減らしたりしたそう。


アイビー


立古さん曰く「戸建住宅も集合住宅も 目指すところは“経年美化”」。 年月とともに価値が増すものを意識されています。 今回では時間の経過でアイビーが いい感じに壁をつたうのも狙ったそう。


アプローチ


“飛び石”のイメージでデザインされたアプローチ。  夜間、植栽の陰がかかっても安全に歩行できるよう、 白色にすることで視認性を高めた。

ファサード面など植栽

植栽もこだわりポイントの1つ。
植栽だけの図面や特徴をまとめた冊子を用意し、
お施主様にもじっくりと
選んでいただいたそうです。

「集合住宅で使用する樹種をお施主様が
選ばれることってなかなかありません。
現場で位置を確認していただくなど、
一緒に考えることができたというのが
この物件の大きな価値だと思います」。

中木


道路からの視線のアイストップになるよう、 アプローチの途中に中木が植えられた。  日頃から緑を感じてほしいという想いから、 建物から出るときにも目に入る場所に配置。

樹種プレート


樹種プレート

中木には樹種を紹介する プレートを必ずつける。  住人だけでなく道行く人も緑を楽しむための、 会社としての取り組みのひとつ。





植栽に限らず、集合住宅のプランは
「おまかせで」という方が多く、
打ち合わせの回数がゼロという方も
いらっしゃるそう。
「とても熱心なお施主様で、
私たちからの提案も前向きに受けてくださり、
こちらとしても『やれるところまでやろう!』
と取り組めた物件でした」と古林さん。
立古さんも頷きます。
「提案を受け入れてくださった上で、
細かな部分を一緒に考えていけて
楽しかったです」。

門柱


「他と被らないデザインに」と お施主様もこだわられた、 マンションネームの門柱。 立古さんは「建物のスクリーンに合わせて ライン意匠を活かしたものにしよう」と 決めていたそう。

石積み


マンションネーム前の石積みには、 地元の山で採れる 「神辺石(かんなべいし)」を採用。 「植栽では日本にある在来の樹を使って 植栽をしようという「5本の樹」計画がありますが、 資材でも同じように地元のものを 使うようにしています」と古林さん。 隣の集合住宅や周辺の戸建て住宅でも 同じ素材を使うことで、 統一感あるまちなみが形成されます。


隣に立つ白い集合住宅も古林さんの設計。 色の対比を意識されたそう。


隣の集合入り

建物に関わる難しいことは古林さんにお任せしてしまいましたが、と笑う立古さんに
「外構で助けてくれたので、ありがたかった」と語る古林さん。
そこにお施主様も加わった「良いチーム」だからこそ、細部までこだわりあふれる魅力的な集合住宅が生まれたのです。

イメージ




相場より家賃は少し高めですが、 入居は順調に決まったそう。 「差別化は重要。先に投資していく価値があります」 と古林さん。 ご自身も、セオリーにとらわれない ご提案を心掛けられています。