施工事例インタビュー “ウチノソト”2019のプラン②

お話を伺ったのは

STUDIO VODA
井上 裕美子さん
〒047-0263 
北海道小樽市
E-mail : yu.voda@gmail.com

<プロフィール>
造園・エクステリアデザイナー
嵯峨美術短期大学インテリアデザイン科 卒業
店舗設計に従事後、自宅の庭づくりをきっかけに豊かな暮らし、
生活や楽しみの場としての庭をつくり広めたいと思い、1994年から造園会社に勤務。
2001年STUDIO VODA設立。
九州から北海道までの、個人の住宅・商業施設の造園・外構設計・装飾植栽、分譲住宅の街並みデザインを手掛ける。
大阪府出身、2009年より北海道在住

家のなかでもなく、公園のような外でもない、私(ウチ)のためのソト空間「ウチノソト」。
家の敷地が小さくても実現できる、心地よい「ウチノソト」を、実際のプランで解説いただく第2弾。
今回は中庭と通り庭のプランです。

〈中庭〉 庭に出る楽しみ、眺めの違う庭

〈通り庭〉 天然石が醸し出す、個性豊かな表情

庭に出る楽しみ、眺めの違う庭

4m×4mのコンパクトな中庭シーン。室内から望む庭と、
庭のベンチに腰かけて望む庭、
それぞれで違う景色を楽しめるプラン。
「ベンチでおしゃべりをしたり、庭に出る楽しみも感じてほしい」
とプランナーの井上さんは語ってくれました。
穏やかな時間が流れるお庭で、
心ゆくまでくつろぎたくなる空間です。




高木には、『コハウチワカエデ』や
『イロハモミジ』を。
「夏には庭や室内に木洩れ日をつくって
涼しく心地よい環境をつくり、
秋には紅葉で目を楽しませてくれて、
冬には落葉して庭や室内に暖かな日差しを
届けてくれます」と井上さん。

伸びやかに広がる 中庭のポイントは舗装のレンガ。 角度をつけて敷くと、奥行き感が出ます。



自然と互いの顔を見ながら
会話ができるようにと、
あえてV字型のベンチを配置。
会話も弾みそうです。

一輪のサクラソウ。 建物側からは死角にあり、 ベンチ側からしか見えない位置に配置。 庭に出る楽しみをつくるのも ポイントです。

ベンチから見える景色には、 水鉢や天然石の壁がアイポイントに。






道路際からセットバックした塀には、前後に植栽を入れることで
圧迫感を軽減させているのだそう。
「同じ塀が続くと単調な表情になるので、
アイポイントに天然石を入れました」と井上さん。
表情のある天然石が空間をより魅力的に彩っています。




塀の高さを1.2mにすることで 塀の圧迫感を抑え、 道路からの視線は高木によって遮られるデザインで、 解放感がありながら プライバシーにも配慮されています。



高木の根元には寄せ植えを。
「色や形の違う草花を混ぜることで、
見た目の楽しさを演出できます」。
あまり整えずラフに配置するのが
自然に見せるポイントだとか。
植栽や石、コケなどが
まるで自然に作られた景色のようで、
居心地の良い空間に仕立てられています。

天然石が醸し出す、 個性豊かな表情

存在感がある天然石の表情だけでなく、
アイテムの組み合わせや使い方で
さまざまなデザインを楽しめる空間です。
「小路を挟んで両側に天然石を使うことで、
つながりや広がりを感じさせています」と井上さん。
歩く楽しみを与えてくれるような通り庭になっています。



あえてクランクさせた小路。
クランクによってできたスペースに、
植栽と天然石でスポット的に
大小のシーンをつくりました。
歩いていると移り変わる景色が
楽しさを与えてくれます。





舗装面に落ちる影が 情緒的な風景を つくり出しています。




周囲より1段高い舗装に隠れるようにライトを。
「天然石に光をあてることで、
ゴツゴツとした立体感や石肌の表情が際立ち、
日中とは違ったシーンをつくり出せます」




存在感のある天然石『ロッドストーン』は、
「個性を出すアイテムとして活用できる」と井上さん。
立たせてシンボルアイテムとして使用したり、
寝かせて土留めとして活用したり。
存在感がありながら、周囲と調和した空間に仕上がっています。





ロッドストーンを使用した縁石の奥は、盛り土で起伏をつくり樹木を中心とした山の雰囲気に。
手前は石ころの多い水辺の雰囲気をつくっています。






山の雰囲気をつくる樹木には、 紅葉も楽しめる『アオダモ』と 『イロハモミジ』の高木、 花が楽しめる『ヤマツツジ』 などの低木を。

水鉢の周りには、 『セキショウ』や『シラサギカヤツリ』、 『アヤメ』など水辺を好む草花を。  





砂利は使用せず、「3寸以上の石を敷くことで、
和に寄り過ぎずモダンな印象をつくれます」と井上さん。
石種だけでなく、使用する石のサイズによっても
空間の印象は左右されるそう。




「舗装とブロック塀の境は、
間を空けて植栽などを入れると
無機質な印象を緩和できます」




 

ブロック塀の角には植栽を。 ブロックの尖った印象を 和らげる効果があります。

プライベートな空間である中庭は、居心地の良さなどの住まい手にとっての機能と、
まちとの調和などの外に向けた機能、このバランスが大切だと思います。
今回のプランでも、視点を変えることで見える景色に変化が生まれたり、豊富な緑の中でくつろいだり、
そこには楽しさや心地よさが詰まっているだけでなく、道行く人にも素敵な景色を届けるなど、
家族にもまちの人にもやさしい空間になっていました。
ぜひプランの参考にしてみてください。

第1弾「3つのファサードプラン」はこちら↓
“ウチノソト”2019のプラン①